値上げラッシュで定年後の生活費の見直しと老後資金対策

定年後の生活費趣味・生活

定年を迎えられている皆さまは生活するうえでどのような節約の工夫をされていますか。

定年再雇用で報酬がほぼ半減し、食料品や電気料などの値上げで生活環境の不安が増してきています。

老後2,000万円問題が話題になった2019年に、それぐらいは必要なのだろうと思ってはいましたが、値上げラッシュや年金の支給額引下げの現状を考えると更に厳しい状況になってきているとハラハラしています。

それで定年後の生活費や貯蓄っていかほどなのか、平均的な生活水準について筆者宅の状況も交えながら考えて見ました。

筆者宅の生活費

筆者宅は家族3人暮らしで定年前の生活費は、月約33万円でした。

内訳は、光熱水費が3.2万円、食費が9万円、通信費が1.9万円、保険が4.9万円、医療費が1.5万円、住居その他で12.5万円というところです。

これまではなんとか赤字にはなっていなかったのですが、昨年定年して収入がほぼ半減し、支出の見直しが必要となっていました。

とはいえ、いきなり生活レベルを半減することもできず、個々の支出を見直しました。

見直した支出内容

  • 携帯電話のキャリアとプランを変えたことで、これまでの通信料が半分ほどになりました。
  • 何気に入っていた生命保険の保険内容を見直し、本当に必要と思えるものだけ残し解約しました。
  • ちょっと多いかなと思っていた週数回の外食を月数回に減らしました。
  • 近くのスーパーへは車で5分ほどでしたが、できる限り歩いて行くことにしました。
  • スーパーへ行くともれなくお菓子も大人買いしていましたが、歩いて帰るため体裁も気になり今ではほぼ購入しなくなりました。
  • 毎日入るお風呂の湯舟の湯量をこれまでの4分の3ほどに減らし、自動保温は行わないようにし、できるだけ短時間で全員が使用するようにしました。
  • 昨年電力会社を変更してそれだけでも電気代は結構節約できたのですが、電気料金が値上げとなったこともあり、テレビやエアコンなど家電品の不要な「付けっ放し」をなくしました。
  • 使用頻度の高い古くなった家電品、特に冷蔵庫やエアコンなど、毎日通電しているものや消費電力の大きいものの買換えなどを検討しました。(結果買換えは先延ばしになりましたが)

このような小さなことなのですが、塵積(ちりつも)でだいたい月3万円ほど節約することができています。

ただ、今後のことを思うと貯蓄残高を鑑みながら、将来的な不安もありまだまだ努力が必要と感じています。

公表資料に基づく単純試算

老後の生活費で、夫婦2人でゆとりある老後生活を送るには月36.1万円最低日常生活なら22.1万円という調査報告があります。※生命保険文化センター 令和元年度「生活保障に関する調査」より

ということは、単純に夫婦とも60歳であと25年夫婦2人で生活するとして、

  • ゆとりある生活なら 36.1万円 × 12ヵ月 × 25年 = 1億830万円
  • 最低日常生活なら 22.1万円 × 12ヵ月 × 25年 = 6,630万円

が計算上必要となる生活費です。

但し、妻は平均寿命からすると、そのあとも4年は生活することになりますので、プラス資金が必要ですね。

ちなみに「ゆとりある」の内容としては、旅行やレジャー、趣味や教養、日常生活費の充実などが使途のようです。

また年金の受給額については、厚生労働省「令和4年度の年金額改定について」(昨年度から0.4%引き下げ)より

令和4年度の新規裁定者(67 歳以下の方)の年金額の例として、夫婦2人の標準的な年金額は、219,593円(▲903円)とあります。※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9 万円)で 40 年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

年金は65歳から受給され、85歳までの20年間として計算すると

  • 219.593円 × 12ヵ月 × 20年 = 52,702,320円

年金額に変動がない前提で、約5,270万円の年金を受取ることになります。

現在60歳の夫婦ならば単純計算で、ゆとりある生活との差額は、約5,560万円最低日常生活との差額は、約1,360万円が不足ということになります。

また、今後を考えるにしても健康状態の変化や突発的な何かが起こらないとは限りませんので、その辺も加味して試算する必要はあります。

そうなると今の貯蓄残高が気になってきますね。

老人悩み

60~64歳の貯蓄高

何か参考になる資料がないかと調べてみたところ、「高齢者の経済生活に関する調査」(内閣府)の資料がありましたので、下記の一覧は60~64歳の個所を抜粋、加工してみました。

出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/)

「高齢者の経済生活に関する調査(令和元年度)結果」(内閣府)を加工して作成

貯蓄残高について

2,000万円以上の貯蓄がある約2割の方は、貯蓄と年金で「最低日常生活」については何とかなりそうですが、それ以外の方は何等かの対策が必要になります。

調査人数100万円未満(0円は除く)100万~500万円未満500万~1,000万円未満1,000万~2,000万円未満2,000万円以上貯蓄はない不明・無回答
男女計25810.5%18.6%12.0%14.7%18.6%7.4%18.2%
男性12711.8%20.5%11.0%14.2%20.5%6.3%15.7%
女性1319.2%16.8%13.0%15.3%16.8%8.4%20.6%

支出項目について

過去1年間の消費等支出の中で大きな割合を占める支出についての質問(複数回答)にて、上位6回答を抜粋しました。

生活に密着する項目がほぼほぼですが、6番目に趣味・レジャーが入り、やはり楽しみも必要ということですね。

調査人数食費光熱水道費交通費、自動車維持費等の費用生命保険や損害保険などの保険料保健・衣料関係の費用趣味やレジャーの費用
男女計25858.9%33.7%32.9%26.0%25.6%24.8%
男性12753.5%29.1%35.4%23.6%20.5%25.2%
女性13164.1%38.2%30.5%28.2%30.5%24.4%

就労について

調査人数収入のある仕事をしている収入のある仕事はしていない
男女計25874.0%26.0%
男性12785.8%14.2%
女性13162.6%37.4%

収入金額について

1か月あたりの平均収入額(賞与含む)は、男女平均で43.6%の方の収入が、20万円未満という状況です。

現在の貯蓄残高を取り崩しながら生活している方は思ったより多いと感じられます。

調査人数5万円未満5万~10万円未満10万~20万円未満20万~30万円未満30万~40万円未満40万~60万円未満60万円以上不明・無回答
男女計2543.5%9.4%30.7%20.1%13.4%8.3%9.1%5.5%
男性1261.6%4.8%27.8%25.4%15.1%11.1%12.7%1.6%
女性1285.5%14.1%33.6%14.8%11.7%5.5%5.5%9.4%

今後必要と思う貯蓄額について

約半数の方が今後2,000万円以上必要と答えていますが、そうでない方も半数近くいるのは既に貯蓄に余裕がある方なのでしょうね。

調査人数100万円未満でよい100万~500万円くらいは必要500万~1,000万円くらいは必要1,000万~2,000万円くらいは必要2,000万円以上は必要不明・無回答
男女計2580.4%4.3%14.0%25.6%48.4%7.4%
男性1277.1%12.6%25.2%47.2%7.9%
女性1310.8%1.5%15.3%26.0%49.6%6.9%

老後資金対策

老後資金対策

老後資金を確保するためには、収入を得るか支出を抑えるしかありません。

1.働けるうちは働く

目標額を設定して目標が大きい場合は、今勤めている慣れた職場でできる限り長く働く、そこまでフルに働かなくてもよさげならパートタイマーかアルバイトという選択肢もありだと思います。

2.生活費を見直し節約する

筆者も見直しましたが、食費、保険、光熱水費、通信費、交通費、燃料費など、支出項目で本当に必要という目線で考えると結構節約や削減につながる項目は見つかると思います。

3.個人型確定拠出年金(iDeCo)

私的年金で、自己の責任において運用商品を選び運用する年金制度です。

個人型確定拠出年金は、60歳以上でも国民年金被保険者なら65歳まで掛けることはできます。

但し、下記のような条件はありますので加入を検討される方はご自身でも確認ください。

  • 60歳以上65歳未満で国民年金の保険料の納付期間が480月に達していない場合
  • 20歳以上65歳未満の海外居住者で国民年金の保険料の納付期間が480月に達していない場合
  • 特別支給の老齢厚生年金を繰り上げ受給していない場合
  • iDeCoの老齢給付金を受給したことがない場合(企業型DCの老齢給付金を受給している/したことがある方はiDeCoに加入可能)

4.リバースモゲージ

持ち家の方は、自宅を所有したまま自宅を担保としてまとまったお金を借り入れることが出来る方法です。

自宅の評価額から算出された融資枠で借入れ、契約期間中は利息のみ返済、契約終了もしくは契約者が亡くなった時に元金をまとめて返済します。

ただ借入額は自宅の評価額の50~80%程度で、返済も担保の自宅売却や相続人の相続財産や自己資金などで行うことになります。

5.リースバック

持ち家の方は、自宅を売却してまとまった代金を受け取る方法です。

自宅を売却して老後資金を調達する方法なのですが、自宅に住み続けることはできます。

ただ所有権は買主に移りますので賃貸として家賃を払うことにはなります。

まとめ

一昔前には定年したら年金で趣味に興じながら悠々自適に暮らせると思っていましたが、まさに夢物語となりました。

現実的には単純計算ではありますが、夫婦とも60歳、あと25年夫婦2人で生活するとした場合、ゆとりある生活したいなら1億830万円、最低日常生活なら6,630万円が生活費として必要となります。

また65歳から受け取れる年金は85歳までの20年間として計算すると年金額に変動がない前提で、約5,270万円の年金を受け取れることになります。

つまり、ゆとりある生活との差額は5,560万円、最低日常生活との差額は約1,360万不足となりますので、現在の貯蓄と不足分で、まだ不足する場合は、それをいかに工面するかということを考えねばなりません。

不足分を工面するには、収入を得るか支出を抑えることしかありませんが、健康面、精神面にできる限り負担を掛けないようにしたいものです。

なお、一覧の調査結果は令和元年度の結果であり、同年末の新型コロナウィルス感染症が報告される前の状況ですので、調査結果以上の準備や心構えが必要かもしれません。

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